かつて日本の地方行政区分だった令制国の一つ旧丹波国。この丹波国に属していた地域の内、京都府と兵庫県にまたがる7つの市町(福知山市、綾部市、亀岡市、南丹市、京丹波町、丹波篠山市、丹波市)が連携して、平成22年から新たな観光振興を促進する取組を進めています。
大丹波地域は、豊かな自然と丹波ブランド農産物に代表され、食材の宝庫として全国にも有名です。そして、大丹波の歴史、文化に彩られた豊富な観光資源も大きな魅力です。この6市1町が「大丹波」として連携し、観光や特産品などの魅力発信を行っています。
「丹波の国」の語源には、いくつかの説があります。その中の一つに、「赤米(古代米)の稲穂が波をうっているように実る国」という解釈があり、もしそうであれば、とても豊かな国であったのだろうと思われます。
福知山市は京都府の北部に位置し、京都、大阪、神戸と北近畿の結節点である交通の要衝として繁栄してきました。戦国武将の明智光秀が福知山城やまちの礎を築きました。光秀公を「神」として祀る御霊神社、元伊勢三社と呼ばれる「元伊勢内宮皇大神社」・「元伊勢外宮豊受大神社」・「天岩戸神社」、大江山の鬼伝説等、豊かな歴史や文化が今も多く残っています。また、城下町として栄え、茶菓子がお茶席等でよく用いられた歴史から「スイーツのまち」、かつて西日本三大家畜市場があり、食肉の流通を支えた歴史から「肉のまち」としての顔もあるなど、歴史や文化に加えて「食」でも魅力あふれるまちです。
綾部市は、京都府の中央北寄りに位置する田園都市。京阪神地域と日本海地域をつなぐ交通の要衝であり、各方面からのアクセスも良好です。聖徳太子の創建と伝わる光明寺にある国宝・二王門、足利尊氏生誕の地といわれる安国寺、大本教の発祥地、グンゼ創業の地など、多くの歴史や文化に彩られています。グンゼ創業本社は現在も、グンゼ博物苑・記念館、綾部バラ園としても利用され、観光資源として活躍しています。また、四季折々に色づく花めぐりやトレッキング、カヌー、キャンプなど、豊かな自然をゆったり楽しめるのも魅力のひとつです。
亀岡市(京都府)は旧丹波国の最南端に位置する、歴史と自然が調和するまちです。世界的にも有名な「保津川下り」と「嵯峨野トロッコ列車」は、亀岡と京都・嵐山をつなぐ保津峡谷の四季の趣を味わえ、外国人観光客も多く訪れます。かつて戦国時代に武将達が刀傷を癒したとされる温泉郷「湯の花温泉」。都会では味わえない素朴な風情が漂い、京野菜や亀岡牛をはじめ、春は山菜・夏は鮎・秋は松茸・冬はぼたん鍋など、四季折々の自然の恵みを堪能できます。そして晩秋から初春にかけて見られる雲海。かめおか霧のテラスからの光景は、思わず息を飲む美しさです。
南丹市(京都府)は京都府内では京都市に次ぐ面積を持ち、日本海に注ぐ由良川と太平洋に流れる桂川と末が異なる川を持つ珍しいまちです。大丹波地域の中でも特に美しい自然が豊富な場所で、その自然の恩恵を受け、自然との共存を大切にしているまちが美山町。日本の原風景を残す「かやぶきの里」は、岐阜県の白川郷や福島県の大内宿につぐ有名な観光名勝です。また、園部町大河内の大堰川支流、園部川が流れる全長4kmの渓谷は「るり渓」と呼ばれ、国の名勝に指定されるほどの美しい場所です。その他にもむスプリングスひよしや府民の森ひよしなどの日吉ダム周辺施設、清源寺の十六羅漢像などの名所があります。
京丹波町(京都府)は、古くから都と山陰地方を結ぶ交通の要衝として栄え、現在も京都縦貫自動車道や3つの国道が交わり、京阪神など大都市圏へのアクセスにも恵まれた地域です。現在は、伝統芸能が息づくまちとして知られており、旧和知町の「和知太鼓」「人形浄瑠璃」などが主にあげられます。観光名所では、13弦の琴糸のように見えることから名が付いた「琴滝」や京都府唯一、近畿地方でも珍しい鍾乳洞「質志鐘乳洞」、916.9mの標高を誇る「長老ヶ岳」などがあります。特産品では、「丹波ワイン」や「長老の日本酒」が有名です。丹波高原の気候、風土が豊かな食材を育む食のまちです。
丹波篠山市(兵庫県)は、自然豊かな地域であるとともに、古来京都への交通の要として栄えてきた歴史があるため、町並みや祭りなどに京文化の影響を色濃く残しています。盆地特有の寒暖差が丹波黒大豆の栽培に適しており、令和3年2月には、丹波篠山の黒大豆栽培が日本農業遺産に認定されました。イノシシのぼたん鍋も特産物として全国的に知られています。また、観光名所は篠山城跡とその城下町が賑わいをみせており、古民家を改装したカフェやレストランが増えています。また、全国的に知られる「デカンショ節」と「日本六古窯」の一つ「丹波焼」のふるさとでもあり、伝統工芸も盛んです。
丹波市(兵庫県)は大丹波地域の西端に位置し、戦国時代には「丹波の赤鬼」として知られた「赤井(荻野)直正」と「明智光秀」の対決の歴史背景が残っています。江戸時代には、柏原が織田家二万石の城下町となり「柏原藩陣屋跡」などが現在の観光名所となっています。また、丹波市は「丹波もみじめぐり」と呼ばれる紅葉の美しい寺社めぐりに毎年多くの観光客が訪れる他、カタクリの群生地や九尺ふじ、コスモスなど四季を彩る花も美しいまちです。丹波野菜はもちろん、丹波の素材を活かしたスイーツや鹿肉料理などのジビエ料理も人気です。